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慢性GVHD について

慢性GVHDについて

慢性GVHDの発症機序

慢性 GVHDの発症機序は完全には解明されていませんが、T細胞の活性化、制御性T細胞の機能低下、B細胞による自己抗体産生などの仮説があります。

仮説①

ドナー由来のT細胞の活性化

ドナー由来のT細胞が、患者さんの臓器を異物と認識して攻撃します(急性GVHDと同様の機序)。

仮説②

制御性T細胞(Treg〔ティーレグ〕)の機能低下

過剰な免疫応答を抑制(免疫寛容)する役割をもつ制御性T細胞(Treg)の移植後の回復が不十分なために、慢性GVHDが引き起こされます。

仮説③

B細胞の関与

近年、慢性GVHDの発症機序としてT細胞だけでなくB細胞の関与も示唆されています。B細胞が異常に活性化することで、患者さんの臓器を攻撃する自己抗体が産生され、慢性GVHDが引き起こされます。さらにB細胞は、B細胞受容体のシグナルを介した抗原提示、サイトカイン遊離、免疫調整機能などにも関わっており、自己免疫疾患の発症に寄与していると考えられます。1)

  • 谷口 修一, 高橋 聡(監):ハンドブック 白血病と言われたら 改訂第6版 下巻
  • 血液の病気を知ろう.全国骨髄バンク推進連絡協議会, 2020年, p.下206.
  • Cooke KR, et al.: Biol Blood Marrow Transplant. 23: 211-234, 2017.
慢性GVHDの診断基準

慢性GVHDにおける臨床試験を標準化することを目的として2005年に提唱され1)、2014年に改訂された2)NIH基準では、重症度や臨床的に意味のある変化を測定する推奨方法が決められました。慢性GVHDの診断は診断的徴候と特徴的徴候という臨床症状に基づいて行われます(診断基準)。

慢性GVHDの診断基準 慢性GVHDの診断基準
  • 1)Filipovich AH et al.: Biol Blood Marrow Transplant. 11: 945-956, 2005.
  • 2)Jagasia MH et al.: Biol Blood Marrow Transplant. 21: 389-401, 2015.
慢性GVHDの重症度分類

慢性GVHDの重症度は、全身状態や皮膚、口腔、眼、消化器、肝臓、肺、筋・関節、生殖器、その他の臓器の症状をスコア化し、これを基に、軽症、中等症、重症に分類されます。

臓器障害の数 各臓器(肺以外)の
障害スコア
肺障害の
スコア
軽症 Mild 1~2 ≦1 0
中等症
Moderate
≧1 2 0
≧3 ≦1 0
≧1 ≦2 1
重症
Severe
≧1 3 any
≧1 any ≧2
  • 令和4学会年度日本造血・免疫細胞療法学会ガイドライン委員会 編 : 造血細胞移植ガイドラインGVHD(第5版), 日本造血・免疫細胞療法学会, 2022, p10.