WM/LPL について
原発性マクログロブリン血症(WM)/リンパ形質細胞リンパ腫(LPL)とは
私たちの血液の中には、細菌やウイルスから体を守る「Bリンパ球」という白血球があります。原発性マクログロブリン血症(ワルデンシュトレームマクログロブリン血症:WM)/リンパ形質細胞リンパ腫(LPL)は、悪性リンパ腫(血液がん)の1つで、がん化したBリンパ球と、Bリンパ球からつくられるリンパ形質細胞、形質細胞のすべてが増えてしまう病気です。中でも、リンパ形質細胞はIgMというタイプの抗体(免疫グロブリン)をつくりますが、WM/LPLではこのリンパ形質細胞ががん化しているので、役に立たない異常なIgM(Mタンパク)を大量につくります。この大量につくられた異常なIgMは、ウイルスや細菌などを攻撃する機能をもちません。
WM/LPLは60~70歳代の男性に多くみられる、比較的珍しい悪性リンパ腫です。発症頻度は少なく、年間100万人に2~3人程度の患者さんに発症します。
血液細胞の働きについて
血液の中には、血液細胞と呼ばれる「白血球」、「赤血球」、「血小板」が含まれています。これら血液細胞は、骨の中心部にある「骨髄」という 軟らかい場所で、「造血幹細胞」という血液の元からつくられ、骨髄から血液中に出てきて、全身を流れます。
白血球は、「顆粒球(好中球など)」、「単球」、「リンパ球」に分類され、リンパ球はさらに「Bリンパ球」、「Tリンパ球」、「NK細胞」などに分類されます。Bリンパ球は刺激を受けると、抗体(免疫グロブリン)をつくる「リンパ形質細胞」、「形質細胞」という細胞になります。抗体は、ウイルスや細菌、カビなどに直接攻撃します。
赤血球は、肺で受け取った酸素を全身へ運びます。
血小板は血を固めて、出血を止めてくれます。
WM/LPLに関連する
抗体(免疫グロブリン)について
免疫の中で大きな役割をになっており、血液の中などに存在します。
細菌やウイルスに感染したとき、最初につくられる抗体です。IgMは、5つのY字構造が結合した形で存在しており、巨大な分子のため、「マクログロブリン」と呼ばれます。WM/LPLでは、がん化した細胞がこのIgM=マクログロブリンを大量につくるため、血液がマクログロブリン血症と呼ばれる状態になります。
がん化した細胞により、Mタンパクが正常な抗体の代わりにつくられてしまうため、正常な抗体が減ってしまい、免疫力は低下します。