WM/LPL について
治療の目標と開始する基準
WM/LPLは比較的珍しい悪性リンパ腫です。
悪性リンパ腫は、顕微鏡を用いた病理分類では80種類前後に分けられます。また、進行の速さに注目した場合は大きく3つに分けられます。
悪性リンパ腫を進行の
スピードで分けた分類
スピードで分けた分類
WM/LPLは、進行自体は年単位とゆっくりですが、完全に治る(治癒する)ことが難しい低悪性度リンパ腫です。
治療の目標は、リンパ腫と共存しながらより健康に長生きするために、病気をコントロールし、症状がなくなること(無症状にすること)です。したがって、 WM/LPLと診断されても症状がない場合には、治療をしないで注意深く経過を観察すること(無治療経過観察)もあります。
WM/LPLの患者さんで治療を開始する基準は次に示す通りです。
WM/LPLの治療を
開始する基準
● 持続する全身倦怠感
(例:気候などによらず、ずっとだるい、休んでもだるさが改善しないなど)
● 持続する発熱、寝汗、
体重減少(B症状)
体重減少(B症状)
● 貧血(Hb≦10g/dL)、
血小板減少<100×109/L
血小板減少<100×109/L
● 症状を伴うリンパ節腫大、臓器腫大
(例:脾臓の腫大…ご飯を食べるとすぐにお腹がいっぱいになるなど)
● 過粘稠度症候群
(IgM値>3g/dLで高リスク)
(IgM値>3g/dLで高リスク)
※鼻出血、目のかすみ、頭痛、めまいなどが無いか確認
● 寒冷凝集素症による溶血性貧血
● 末梢神経障害(例:手や足がしびれる、感覚が鈍くなるなど)
● 症候性アミロイドーシス
● 症候性クリオグロブリン血症
- Kyle R A. et al.: Semin. Oncol., 30(2): 116-120, 2003.より改変
WM/LPLの治療効果の判定にはWM/LPL専用の規準を使用します。 Mタンパク(マクログロブリン、IgM)がどのくらい減ったか、画像検査で病変が縮小・消失したか、症状が改善・消失したか、骨髄検査でがん化した細胞が消えたかなどにより、総合的に判定します。
治療効果判定規準
Mタンパク量の 変化 |
画像検査に おける 病変の変化 |
症状の変化 | その他 | |
---|---|---|---|---|
CR (完全奏効) |
消失 | 消失 | 消失 | 骨髄中の がん細胞の 消失 |
VGPR (最良部分奏効) |
90%以上の減少 | 改善 | 消失 | — |
PR (部分奏効) |
50%以上 90%未満の減少 |
改善 | 改善 | — |
MR (最小奏効) |
25%以上 50%未満の減少 |
— | 改善 | — |
SD (安定) |
25%未満の減少、 または 25%未満の増加 |
— | — | — |
PD (進行・増悪) |
25%以上の増加 | — | — | 状態の悪化 |
- Owen RG. et al.: Br. J. Haematol., 160(2): 171-176, 2013.より改変